BLOG

06/ オウンドメディア運営を極めるブログ

「縁故採用」を大胆宣言?岩波書店とはどんな企業なのか

,

「縁故採用」を大胆宣言?岩波書店とはどんな企業なのか

2012年2月初旬、岩波書店はウェブサイト上の採用情報ページに「岩波書店著者の紹介状あるいは岩波書店社員の紹介があること」と記載しました。
老舗の有名出版社が堂々と縁故採用を宣言したとして、当時は随分と騒ぎになりました。

縁故採用宣言をしたと言われた岩波書店とは、どんな出版社なのでしょうか。
今回は岩波書店がどんな企業であるかを紹介しながら、なぜ「縁故採用」と呼ばれる制度を打ち出したのか、考えていきます。

手堅い書籍が特徴の「岩波書店」とは?

岩波書店は1913年に創業された出版社です。問題となった条件が発表されたのは2013年度の定期採用時だった訳ですが、奇しくも創業100年を迎える年だったのですね。

創業100年を超える老舗出版社・岩波書店は一体どのような企業なのでしょうか。

岩波書店の出版物

岩波書店は創業の翌年・1914年に夏目漱石の「こゝろ」を刊行し、1955年には「広辞苑」の第1版を刊行しています。
(参考:岩波書店の歩み – 岩波書店

ページを開いたことはなくとも、日本人ならば「こころ」「広辞苑」の名前を一度は耳にしているでしょう。「こころ」と「広辞苑」だけで、老舗の堅い出版社というイメージを持つ人も居そうです。

現在は単行本・自然科学書・児童書・新書など多岐にわたって出版を行っています。「岩波新書」や「岩波文庫」など、独自のシリーズ名をつけているジャンルもあります。

出版物のジャンルは様々ですが、生物・勉学・政治・世界(情勢)・歴史など、全体的に“学び”を提供する書物が多いイメージです。

手塚治虫や宮崎駿(ジブリ)の書籍もありますが、ほとんどコミック単行本などは出していません。
雑誌も女性週刊誌のようなものはなく、「図書」「世界」「科学」など、やはり学びを目的としたものを刊行しています。

手堅い書籍が多く、いかにも真面目な老舗出版社という雰囲気がしますね。

従業員数の遷移

2006年の出版年鑑によると、岩波書店の従業員数は215名、縁故採用を宣言したと言われる2012年も200余名の従業員数でした。

2006年から12年前の6年間に変化はありませんが、1995年は何と300名もの従業員がいたと言われています。
(参考:岩波書店(いわなみしょてん)とは – コトバンク

そして現在、岩波書店ウェブサイト上に掲載されている社員数は140名です。
サイト上では「社員数」となっているので、もしかしたら正規雇用以外の従業員もいるのかも知れませんが…20年余りの間に従業員が減っているのは間違いなさそうです。

出版業界でどのくらいの規模に当たるのか分からない…という方のために補足しましょう。たとえば岩波書店本社ビルの隣にあります集英社は、会社案内ページによると社員数754名(2016年6月時点)です。

岩波書店も集英社も有名出版社ではありますが、社員数は大きく違うのですね。岩波書店のこの社員数にも、“紹介状あるいは紹介”を応募条件とした理由が隠されていそうです。

岩波書店は本当に「縁故採用」宣言をしたのか

一般的に言われる縁故採用…いわゆるコネ採用とは、たとえば候補者として紹介された、社員の家族や知人を“採用に値する能力もないのに採用する”事です。

岩波書店の宣言は、本当に「縁故採用」だったのでしょうか? 当時の流れを見ながら考えていきましょう。

厚生労働相が立ち上がる騒ぎに発展

岩波書店がサイトの採用情報ページに「岩波書店著者の紹介状あるいは岩波書店社員の紹介があること」と記載するや否や、ネット上では賛否両論の嵐が起こりました。

そしてその騒ぎは厚生労働省まで響く事になります。
2012年2月3日、小宮山洋子厚生労働相が岩波書店の採用条件に関し、調査に乗り出すという発言をしたのです。
(参考:厚労省、「縁故採用」宣言で岩波書店調査へ : J-CASTニュース

この発言によって岩波書店の打ち出した採用情報が広く知れ渡ることになり、さらに大きな騒ぎになったのでした。

岩波書店自体は縁故採用を否定

「コネ採用の公言」と批判を受けた岩波書店ですが、企業自体は縁故採用を否定しています。当時の岩波書店総務部の採用担当者は、新たに発表した採用制度について以下のように述べています。

「今回このような制度を取り入れたのは、数人のわずかな採用人数に対して毎年1000人近い学生が応募をしてくる。
採用にかけるコスト削減ではなく、単純に興味本位だけで受けにくる学生の数を減らし、意欲のある学生に出会いたいとの意図からこの制度を取った」(中略)

「紹介文はあくまで応募条件であり、採用条件とは別のものである。
例年通り筆記試験や面接の上、採用を判断するので、紹介文の中身はその後の採用試験の合否に影響しない
と、縁故採用ではないと強く主張した。

(引用:岩波書店「縁故採用ではない」と主張、意欲ある学生求める | オルタナS


多くの従業員が勤める大企業に対して、1000人近くの応募者がいるのは分かります。
しかし、従業員数200余名・採用人数は数人という企業に1000人近くの応募があるというのは、通常業務に支障が出るくらいの負担ではないでしょうか。

しかも1000人近くの応募者のうち、何%かがいわゆる“記念受験”であったら? 真剣に書類選考や面接をしても「別に入る気はない」のだとしたら、時間の無駄遣いにしかなりません。

岩波書店は紹介してくれる人物や紹介状を書いてくれる人物を、探し当てるほどの本気度を選考で見たかったのではないでしょうか。

ただ、厚労省が乗り出すほどの騒ぎになってしまったのは、岩波書店の持っているイメージもあったと考えられます。
“老舗のお堅い有名出版社が、コネがなければ採用しないと公言した”……その衝撃的な響きに、多くの人が飛びついてしまったのではないでしょうか。

もしもこれが、老舗の堅いイメージがない企業、ベンチャー企業なら?
もしも発表時に「応募者の本気度を測るねらいがあります」と一言添えてあれば?

批判は生まれたかも知れませんが、ここまでの騒ぎになったかは疑問です。

紹介からの採用制度によるメリット

岩波書店は批判の嵐を浴びる事になってしまいましたが、この一件により“紹介からの採用制度”を用いる事で生まれるメリットが見えてきました。

1.本気でその企業への就職を考えている候補者だけが応募するようになる
※条件が「親族・家族」などではないので、紹介者を得る事が絶対に不可能な事ではない

2.紹介の結果によっては企業と紹介者(岩波書店の例で言うと、特に本の著者)の関係が悪くなるため、紹介者の真剣度も高まる

3.現職の社員からの紹介の場合、採用候補者は紹介者に「どんな企業なのか」を聞く事ができる。実際に働く前に、企業が自分に合うかどうか判断できる

「コネ採用」と言うと聞こえが悪いですが、この頃は紹介によって採用を決める“リファラルリクルーティング”という方法も広まってきています。

当BLOG内の過去記事にもリファラルリクルーティングについて書かれたものがありますので、ぜひこちらも併せて読んでみて下さい。

「コネ採用は悪なのか?縁故採用の歴史とこれからの採用戦略」
「日本企業5社のリファラルリクルーティング導入事例に学ぶ、3つの成功のポイント」

新しい形の“縁故採用”は、決して悪ではない

日本では古くからのイメージにより、“紹介=コネ=悪”というイメージがかなり蔓延しています。
しかしこの記事で取り上げた岩波書店の例は、新しい形の縁故採用制度ではないでしょうか。

紹介されたからといって必ず採用する訳ではなく、採用するか否かはあくまで本人の能力にかかっています。
つまり社員からの紹介や関係者の紹介状というのは、ただの第一関門にすぎません。

新しい形の縁故採用を求める企業は、「コネがなければ入れない」と言っているのではなく、「あなたの縁を繋げる力を見せて欲しい」と言っているのです。

紹介者とのコネクションを得る事ができるかどうかは、書類選考よりも面接よりも本人の能力が分かりやすい“就職試験”です。

この新しい就職試験を逆手に取れば、今までより自分の能力を見せやすい“チャンス”がやってきた事になります。存分に自分の能力を発揮し、採用への切符を掴みましょう。

オウンドメディアの制作・企画
ポジショニング戦略・現状ビジネスの差別化等、お気軽にご相談ください。

お電話でのご相談・お問い合わせはこちらから
メールでのご相談・お問い合わせはこちらから

広告費が一切かからない
弊社のインパクトある集客の
ノウハウ、お伝え出来ます

オフィスに遊びにきてみませんか?

株式会社レバレッジ、弊社の
やっていることに
興味を持ってくださっている方、ぜひ、お気軽にオフィスに来てみませんか?

カジュアルに、ワイワイ、会社のことや未来のこと、お話させてください

同じジャンルの記事はこちら

良く読まれる人気の記事はこちら

August 24, 2017

自社メディア、企画します
オウンドメディア創造集団レバレッジ

イラストレーター&まんが屋

フリーランスでイラストレーター(デザイナー)をしている者です。 文章を書くのが好きなので、時々コラムなどを書いています。 http://nekotoba.jugem.jp/