01/ 弊社代表、只石昌幸のブログ
リファラルリクルーティングを1歩先へ!LinkedInを有効活用

従来の採用活動ではコストがかかり過ぎるという事で、多くの企業が新しい採用活動形態に注目しています。
そのうちの一つが、「リファラルリクルーティング」です。
リファラルリクルーティングとは、自社社員の人脈を頼って働きたい人を紹介・推薦してもらう採用手法です。そして今この“人脈”が、リアルの人間関係だけでなくソーシャルメディアの人間関係にまで範囲を広げているのです。
今回は採用活動の情報収集として企業に注目されているソーシャルメディア、「LinkedIn(リンクトイン)」についてご紹介します。
目次
LinkedInとは何なのか
LinkedInは2003年5月5日にリリースされた、ビジネス特化型SNSです。このサービスを提供したのがアメリカのシリコンバレーの企業ということもあり、アメリカを中心に全世界への利用が広がりました。
日本では他のSNSに比べてまだまだ知名度の低いLinkedInですが、2016年5月時点で登録者は全世界4億人以上。日本でも100万人以上の登録者がいます。
そして既に採用手法の一つとして、このLinkedInを活用している日本の企業も存在しているのです。これから先さらに個人利用者や企業の登録が増えれば、新しいカタチの就職/転職活動・採用活動としてLinkedInの普及が広がっていくのではないでしょうか。
LinkedInの基本的な使い方
(出典:https://www.linkedin.com/)
まずはLinkedInの基本的な使い方についてご説明します。ビジネス特化型といってもSNSはSNSなので、メンバー登録をしなければ始まりません(登録はもちろん無料)。
1.メンバー登録
LinkedInのサイトに飛ぶと、メンバー登録をしていない人は登録申請画面が出てきます。まず入力するのは
・姓
・名
・メールアドレス
・パスワード
の4項目。これを送信すると認証コードが発行され、コード入力で登録完了です。
登録作業中に「つながり」や「トピックのフォロー」を要求されますが、よくわからなければスキップして構いません。携帯端末用アプリのダウンロードも勧められますが、こちらも必要な方だけダウンロードしましょう。
偽名でSNS登録をする事に慣れている人は、初っ端の「姓名」でひるむと思いますが……要するにLinkedInはネット上に電子履歴書を置くようなものです。企業に提出する履歴書に、偽名は書きませんよね。
Facebookが実名登録制になっているので、そこで実名登録をしている人は特に抵抗なく進めると思います。それでも心配な方は、アルファベット表記で登録しましょう。
2.基本情報(プロフィール)編集
こちらが一つ前の項目でご説明した「ネット上の電子履歴書」に当たります。記入する内容もほとんど履歴書と変わりません。
・現職の会社名(役職)
・勤務開始年月日
・現住所地(県まで)
・職歴
・学歴
・業種
・スキル
これらを入力したら、プロフィール写真を選びましょう。
あくまでLinkedInはビジネス用のSNSなので、企業・顧客にアピールできる写真が望ましいです。
また、上記項目の他にキャリアサマリという項目でこれまでの実績・キャリアをアピールする事ができます。
より詳しい実績を表示したい場合は、
「プロフィールのセクションを追加>実績」
の項目から登録しましょう。出版物、免許・資格、プロジェクトなど多岐にわたる実績が登録できますよ。
沢山の人に自分のプロフィールを公開したい場合は、「公開プロフィール設定」でどの範囲まで自分のプロフィールを公開するか設定しましょう。
3.「つながり」を作る
先ほど登録した「職歴」や「学歴」を元に、出身校が同じ人や元/現同僚などを探すことができます。連絡先を同期すると、自分のアドレス帳に登録されている人がLinkedInにいる場合はその人たちを探し当てることもできます。
気になる企業のLinkedInページを見つけてフォローするのも良いでしょう。画面左上の検索フォームから検索することもできますが、「LinkedIn人気企業ランキング」のページを見れば登録者数の多い日本の企業がひと目で分かります。
●LinkedIn人気企業ランキング
http://linkedin.userlocal.jp/
LinkedInを個人で利用するにあたっては「単なる転職活動用SNS」と認識している人も多いようです。しかし、うまく利用していけば
- 同業他社で働く人々とのコミュニケーションや情報交換
- 社外でのビジネスパートナーを見つける
といったことができますし、個人事業主であれば
・新規顧客の獲得、すでに顧客となっている方への情報発信
・エキスパートに協力を要請
・自分の専門外のことを専門家に相談
なども可能になっていくのではないでしょうか。
4.その他の活用方法
上記が基本の使い方となりますが、LinkedInにはその他求人検索機能や、つながりを持ったメンバーへ送信できるメッセージ機能などがあります。経営者や事業主は、自社の企業ページ(Company Page)を作成して自社アピールをする事も可能です。
リファラルリクルーティングとはあらかじめ人間関係のある人同士で企業・採用候補者を紹介することであり、その色が強いLinkedInでは基本的につながりのない人とのコンタクトは取れません。
ただしプレミアムアカウントとして有料登録すると、つながりのない人にもメッセージを送ることができるInMailという機能が使えます。LinkedInをより有効活用するのならこういった機能も検討するべきでしょうが、とりあえず様子を知りたい段階であれば無料登録で充分でしょう。
企業が人材を掴まえに行く「ダイレクトソーシング」
これまでの採用手法は、“企業が求人募集を出し、それを見た求職者が履歴書を書いて応募する”というのが一般的でした。しかしこの手法では、企業は優秀な人材が応募してきてくれるのをただいつまでも待っているだけ、という状態になってしまいます。
LinkedIn等の登場により、個人の経歴・スキルがネット上に公開される時代になりました。企業は自社に郵送されなくても、ネット上にある電子履歴書を見る事ができるのです。
そしてその電子履歴書の中に優秀な人材を見つけたら、企業はその個人に直接「うちの会社で働いてみませんか?」と声をかける事ができます。これを「ダイレクトソーシング(ダイレクトリクルーティング)」と言います。
※言葉が2つあるのは、ダイレクトリクルーティングは日本でよく使われる和製英語であるため。世界的には「ダイレクトソーシング」という呼び方をします。
まだ転職の意志がない、もしくは自社へ志望する動機がない候補者に対し、企業側からコミュニケーションをとってまずは自社の魅力をアピールする。これもダイレクトソーシングの一環です。
そしてそのダイレクトソーシングをするためのツールとして、LinkedInを有効活用している日本の企業がどんどん増えています。
LinkedInを採用戦略に活用している企業
それでは、実際にLinkedInを採用戦略に活用している企業を見て行きましょう。
1.楽天株式会社
2011年からLinkedIn導入を検討し始め、2012年5月から本格的にLinkedInでの採用活動を始動した楽天株式会社。事業のグローバル化に伴い、海外の優れた人材を採用するためにLinkedInを活用することを決めたのだそうです。
楽天がLinkedInを導入して得た効果は次の4つです。
・LinkedInに登録者の多いエンジニア層をすぐに採用することができた
・直接面談ができない海外在住者と、採用までのやり取りが効率よく行えた
・海外への認知率が低かった楽天の企業説明を、海外の候補者に丁寧に行う事ができた
・候補者に直接コミュニケーションを取れるので、採用コストが削減できた
(参考:楽天株式会社 LinkedIn導入事例 (2013年12月))
2.Panasonic(パナソニック株式会社)
パナソニックの人材採用を統括しているグローバル&グループ採用センターは、企画チーム、採用チーム、海外採用チームという3つの機能に分かれています。LinkedInをまず導入したのは、海外採用チーム。
海外のキャリア採用に最も重要なのはスピードであると感じたグローバル&グループ採用センター所長・行岡正恭氏は、採用競争の先手を打つために2013年8月からLinkedInの導入を決定しました。
PanasonicがLinkedInを導入して上げた成果はこちら。
・2014年3月時点で北米におけるキャリア採用は8割がLinkedIn経由
・ブラジル、インドでもキャリア採用の実績が出る
LinkedInを活用した今後の展開(2014年3月時点)
・所属する社員の幅広いネットワーク作り(社外との連携・異能スキル交流)
・日本の採用市場を活性化(今まで出会うのが困難だった人材と出会う)
(参考:パナソニック株式会社 LinkedIn導入事例 (2014年3月))
3.Mercari, Inc. (株式会社メルカリ)
株式会社メルカリがLinkedInを導入したのは2015年初め頃。採用基準に「共感」を重要視するメルカリは、自社に共感してくれる候補者と繋がるためにLinkedInを導入しています。
メルカリHRグループ石黒 卓弥氏が語るLinkedInの魅力は以下の3点です。
・英語ができ豊富なキャリアを持っている人材へのアプローチとして有効
・採用したい候補者を、自社のファン作りのために行っているイベント(ミートアップ)にLinkedIn経由で招待できる
・気になる人材のデータベースとして活用できる
実際にミートアップイベントから内定が決まった人もおり、採用活動だけでなくファン拡大にもLinkedInが役立っているようです。
(参考:LinkedInをどう使う? 世界に通用する人材に出会う、メルカリの採用戦略とは)
上記の導入事例をまとめると、LinkedInによって
・優秀な人材とのマッチングが可能になる
・自社に必要な人材と繋がるためのスピードアップが図れる
・自社企業のアピールが可能になる
・採用活動以外の所でもLinkedInが活用できる
ということが言えそうです。
LinkedInは日本で普及するのか
LinkedInがリリースされたのは2003年であると冒頭で書きましたが、実は日本語対応がされたのは2011年の秋からです。
LinkedInの日本法人が設立されたのも同時期であり、LinkedIn全体の歴史からするとまだ日本での歴史は浅いと言えます。
そうとは言っても、LinkdInが日本語対応を始めて既に6年近く経っています。
しかし他SNSに比べてLinkedInの知名度が低いのは言うまでもありません。
日本は採用活動に限らず、新しいシステムを取り入れるのが他の先進国に比べて遅い傾向にあります。LinkedInが日本でなかなか流行らないのもそのためでしょう。
自身の体験談になりますが、Facebookの時もそうでした。
Facebookが一般開放されたのは2006年、日本語版が公開されたのは2008年。わたし自身はFacebookを2011年に登録したのですが、当時はほとんど誰も利用しておらず、友人知人はmixi利用者ばかり。
当時は「やはりアメリカで流行ったものは日本では流行らないのか」と落胆したものでした。しかし今や、そこらじゅうの友人知人がFacebookに登録しています。
LinkedInはFacebookのようにプライベートの情報を共有するものではないので、同じように普及するかは分かりません。しかし、2008年時点では検索しても知り合いが誰一人出てこなかったFacebookだったのに、今や探さなくとも知り合いのアカウントが勝手に出てくるという状態です。
わたしは今LinkedInの画面を見ながら、2008年のFacebookを思い出しています。いつかLinkedInにも、現在のFacebookのような未来がくるかもしれませんね。
LinkedInが活性化するのは日本企業の固定観念が崩れた時
LinkedInは新しいビジネス・コミュニケーション、そして採用活動を生むためのツールです。それがなかなか普及しないのは、古き良き歴史を重んじる日本人の国民性によるものかも知れませんし、隣国が地続きになっていない島国気質によるものかも知れません。
古き良きを好む経営者たちは、直接顔を合わせお辞儀して名刺を出し合い、さぐりさぐりの会話で相手の趣味嗜好を把握する事がビジネスマナーだと思っています。
そして採用活動は、書類を送ってもらい来社させ、本心かどうなのかわからない志望動機を面接で尋ねるのが当たり前のことだと思っています。
もちろん、顔を見ないと分からないこと、顔を合わせるからこそ良い効果を生む事もあるでしょう。しかし古いやり方だけを尊重した結果、弱体化する企業や倒産する企業が出てきているのではと思います。
古き良きを大事にしつつ、新しいシステムも“ビジネスツールの一つ”として取り入れていく。そういった改革が必要な時期が、今まさに来ているのではないでしょうか。
実際に事例として、メルカリのような新しい会社だけでなく、Panasonicのような老舗の企業もLinkedInを取り入れています。さらに多くの日本企業がこれまでの固定観念を崩し、LinkedInの導入を始めれば、日本のビジネスシーンは大きく変わっていく事でしょう。
普及してから慌てて登録しても、使い方がわからず遅れを取ってしまいます。これから起業しようとしている人や既に経営者である人、引き続き企業に所属して働いていく人も、リファラルリクルーティングは今後必要になっていくでしょう。
1歩進んだリファラルリクルーティングのために、ぜひ今からLinekedInの使い方を学んでみて下さい。


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